デジタルファーストが建設業に何をもたらすかを知ろう
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42492300V10C19A3EAF000/
いわゆるデジタルファースト法案が審議入りしました。国は、「(1)手続きをIT(情報技術)で完結させる「デジタルファースト」(2)同じ内容の情報提供は求めない「ワンスオンリー」(3)民間サービスを含む手続きを一度に済ます「ワンストップ」――の3原則を打ち出し」ました(2019年3月15日 日経新聞デジタル版より)。
成立すれば、行政機関は今後この論理で改革されて行くことになり、市民の利便性は大いに高まることでしょう。
へぇ、なんか知らないけど便利そうだなー、じゃありません。我々建設業に従事する人間も、この一連の法改正で何が変わっていくのかを、しっかりと知っておく必要があります。なぜなら、この関連法案が建設業にもたらすインパクトが巨大すぎるからです。
まったく他人事ではないデジタルファースト
この流れが実現すれば、建設業界はまったく別物になります。
以下のリンクは、デジタルファースト法案のうち、行政、インフラに関する事項を特にまとめたものです。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0615/shiryo_04-2.pdf
正直、書いてあることは全て重要ですが、特に重要な項目に絞って解説します。解説していない項目も、読んでおく事をお勧めします。
官データのオープン化
「データを保有する地方公共団体と民間事業者等との調整・仲介の企画」
[i-Construction ]
「橋梁・トンネル・ダム工事や維持管理、建築分野を含む全てのプロセスに対象を拡 建設プロセスにおけるICTの更なる活用を推進」
「建設プロセス全体を3次元データでつなぐため、クラウド化に向けたシステムを構築」
さらっと書いてますが恐ろしい内容です。
例えば、建築確認申請がオンラインで行われ、設計図書やデューデリジェンス、安全衛生管理提出書類、作業計画書、作業指示書、工程表、出来型管理、各種検査のマイルストーン、検査の結果、写真データ、竣工検査提出書類、持続的な施設維持関連書類、消防検査書類、性能検査書類、各種出荷証明、仕様書、性能証明 etc... がオープンソース化されるよこれは、という意味です。
どれだけの自治体と建設業者がこの内容を理解できているでしょうか?国とその他の認識の差が凄まじいです。
例えば次のスクショを見てください。
「建築関係手続の一層の簡素化に向けて、オンライン化されていない手続について 取組の実施」
うん、逆にオンライン化されてる手続きって何かあったっけ?というレベルです。
国はかなり本気です。
これらの施策は確実に実施されると考えてください。
公共工事が変わる。集住という避けられない変化
「コンパクト・プラス・ネットワーク」
http://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_ccpn_000016.html
国土交通省によればそれは、
「人口減少・高齢化が進む中、特に地方都市においては、地域の活力を維持するとともに、医療・福祉・商業等の生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるよう、地域公共交通と連携して、コンパクトなまちづくりを進めることが重要です」
要は、インフラ投資を際限なく拡大する事は今後無理なので、選択と集中を行う必要があります。でも、インフラが途切れると国民生活が破綻します。なので、出来るだけ集まって暮らすのと、持続可能なインフラ投資を増やして、未来的なモビリティの普及を促進して、不便さはテクノロジーでカバーします、というような内容だと思われます。
これまでの壊しては作るインフラのイメージから、メンテナンスしてなるべく長く使うインフラへの転換。そして地域に必要なインフラの整備とそれに伴う都市づくりの見直しが必要になるでしょう。
いずれにしろ、行政は改革を志向しています。我々は、それに備えておくべきでしょう。