ICTとは何かを知ろう
ICT、ICTと気軽に言っていますが、そもそもICTって何?という方もいらっしゃるでしょう。ITとどう違うの?という方も。
ITとICTは何が違うのか?
正解は「何も違わない」。
ITがICTに進化した!…わけでもない
ITはInformation Technology(情報技術)のアナグラムで、ICTは、それにCommunicationを加えたものである、と言われます。そういう意味で、ICTがITの次の段階と言うのは正しいと思います。海外ではITという言葉はもうあまり使われないようです。
個人的には、英文を打つ時にITはItと混同しやすいので廃れたんじゃないかと思います。私見ですけど。
しかし、ICTという言葉が初めて登場するのは1980年代です。普及し始めたのは1997年のイギリス政府の報告書で使用されてからだと言われていますから、日本でITが普及し始めたころには、世界ではすでにICTという言葉が使われ始めていたわけで、我々がITと思っていた技術は、すでにICTだったということになります。つまり何が言いたいかと言うと、少なくとも我々日本人にとっては、ITとICTに大した意味の違いはないという事です。
それでもICTという言葉を使った方がいい理由
日本ではトロンという携帯端末用の独自OSが進化してきた歴史があり、いわゆるガラケー(フィーチャーフォン)が高性能であったため、i-modeや写メールなどの独特のコミュニケーション方法が発達し、海外で普及したWhatsAppなどのチャットアプリは、2011年にLINEが登場するまで、日の目を見ることはありませんでした。
LINEは震災が生んだキラーコンテンツですが、あの日本に甚大な影響を及ぼした大震災の後、日本ではようやくICTという言葉が使われ始めたように思います。
おおげさに聞こえるかもしれませんが、日本人の情報リテラシーを大きく変えたのはLINEであったと思います。
なぜICTという言葉を使った方がいいかを私はこう表現したいと思います。
LINE以前とLINE以降の世界を区別するため。
もちろんFacebookやtwitterなどの普及も同時期に起こりますが、全世代に影響を与えたという意味で、LINEほどのインパクトはなかったと思います。
前述のチャットアプリ、WhatsAppやWechat、Facebookのメッセンジャーなどが日本で普及しなかったのは、それらのサービスが日本向けではなかったからではありません。完全に後発のLINEが、それらのサービスを差し置いて日本で急速に普及した理由は分かっていませんが、私は契機の問題だと思います。LINEは、日本人が変わる瞬間にたまたま居合わせたサービスだったのです。卵と鶏の話の様に、LINE以前はLINEを受け入れる素養がなかったということです。
ITという言葉を使うのはやめよう
いずれにしてもITという言葉を使うのはやめましょう。現在、官公庁でも急速にICTという言葉が普及しているからです。
また、あわせて以下の言葉も覚えておきましょう。
IOT
Internet Of Thingsのアナグラム。すべてのモノのインターネットのこと。モノ自体に位置情報を持たせたり、センサー類を直接インターネットに繋げたりすること。建設業で言えば、ICT建機は、IOTの技術がなければ成り立たない(重機自身に自分の居場所や状態が分からない)。似た言葉でも、意味は全然違うので混同に注意。
RPA
Robotic Process Automation (工程の自動ロボット化)。ルールエンジンや構造解析技術、画像認識技術などを組み合わせたソフトウェアを使って事務作業を自動化すること。デジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれる。
AI
Artificial Inteligence(人工知能)の略。AI自体は古くからある概念であるが、RPAとの違いは、RPAが人間の仕事の代替であるのに対して、AIは人間では処理できないデータ量を処理し、かつ、人間と同等(かあるいはそれ以上の)結論を導き出すことができる。AIの発想自体は昔からあったが、それほど研究が進んでいなかったのは需要がなかったから。しかし現在は、IOTがもたらすビッグデータの影響もあり、人間の情報量が人間の処理能力を超えてきたため、AIの力が必要になってきたのだ。
ICTを恐れることはない
ICTを恐れることはありません。スマホがない生活は考えられない、と言う人は皆ICTの素養があります。
人づてに聞いたレストランの名前をサイトで検索して、紙に印刷してぐるぐる道に迷った経験は過去ないですか?
そんなことすら、私たちにはもう起こりません。
紙に印刷することはまずありませんし、Google mapの言うとおりに進めば大抵目的地にたどり着けますし、なかんずく道が複雑で迷っても、LINEで友達に場所を聞けます。
こういうことは20年前には考えられなかったし、今はこれがない生活は考えられないことです。
デジタルファーストの社会ではすべてのプロセスが、こうした不可逆的な変化に置き換えられていきます。
私たちは、常に、最先端の技術に触れ続ける訓練をすべきです。